焙煎マスターズカップ2024 ―エチオピアと雲南農園から日本へ
同じ2つの豆、同じ条件。全国の焙煎士がエチオピア グジ ハニーと中国・雲南ウォッシュドを焙煎し、互いの一杯を採点し合いました。カップから見えてきたのは、順位よりも「距離の近さ」でした。

なぜ、あえて焙煎大会を開いたのか
Black Samurai Coffeeは、エチオピアをはじめとするアフリカのコーヒー産地と、日本のコーヒー事業者とのつながりを大切にしながら、日々、調達と供給に取り組んでいます。サイトに掲げている役割は、アフリカのコーヒー生産者と日本のコーヒー焙煎業者の間に、イノベーションを通じた持続可能なソリューションの橋を架けること。請求書と船積みのスケジュールは豆を運べても、信頼までは運べません。エチオピアで積み重ねてきた協同組合、農園、輸出事業者、加工・物流に関わる人たちとの関係は、受け取る側の焙煎士が「買い手」ではなく「パートナー」だと感じてはじめて、長く続くものになります。
「ビジネス、コーヒー、文化、地域社会を通じて、日本とアフリカの間に、双方にとって意味のある関係を築くこと」――それは私たちの使命です。品質、情報、信頼、そして人と人の関係までつないでこそ、長く続く価値が生まれる。私たちはそう考えています。
この大会が縮めたかったのは、まさにその距離です。生産者・焙煎士・消費者が同じ場所に居合わせる機会は、そう多くありません。「顔の見えるコーヒー市場」をつくるには、その「同じ場所」を、たとえ一晩でも現実にすることが必要でした。焙煎マスターズカップ2024は、その最初の試みです。共催はKOUNOU-COFFEE。大阪・東三国の本店が、当日のブリーフィングと審査の会場になりました。

2つの産地、同じスタートライン
参加者に送られた課題豆は、「エチオピア グジ ハニー」と「中国 雲南ウォッシュド」の2種類、それぞれ1kg。この組み合わせは意図的なものです。ひとつはアフリカ、もうひとつはアジア。どちらも、日本の飲み手が生産者を知る機会の少ない産地です。同じ焙煎機、同じ期限、同じ提出フォーマットという条件で並べることで、「スペシャルティの産地」と「ブレンドの素材」を分けてしまう普段の序列を取り払い、どちらの豆も等しく扱えるかどうかを問う場にしました。

カッピング審査の設計
応募できるのは、実際に焙煎・販売を行っている焙煎士。定員は20名、参加費は5,980円(課題豆 各1kg付き)でした。比較の条件を守るためのルールは次のとおりです。課題豆の追加購入は不可/発送された生豆のみを使用/課題豆に同封された返信用封筒で、エチオピア・雲南・ブレンドの3点を100gずつ、9月9日必着で返送。期限に遅れた提出は無得点としました。ブレンドは2産地をそれぞれ40%以上含むこと(事前混合・後混合のいずれも可)。あわせて、焙煎の意図を尋ねるアンケートにも回答してもらいました。

9月12日(木)19時、カッピング審査はKOUNOU-COFFEE本店(大阪市淀川区東三国5-2-19/東三国駅から徒歩約2分)で行われました。3点の提出物はそれぞれCOEのカッピングフォームで評価し、3つの得点を合計して最終結果とします。配点はプロの審査員80%:参加者による審査20%。優勝者の発表は9月15日、募集開始時にお伝えしたスケジュールどおりです。大会の発信には #RoastingMastersCup2024、#roastingcompetition2024、#kounoucoffee、#blacksamuraicoffee、#gujihoney のタグを使用しました。

当日のカッピング
カッピングは、見た目よりもずっと規律正しい、ある種の競技です。焙煎士が集まった会場では、その一つひとつの所作が、そのまま技術の差になって表れます。テーブルには、粉の層(クラスト)を浮かべたグラス、口をすすぐためのカップ、手前には白いナプキン。まずは乾香(ドライアロマ)を確かめるところから始まり、湯を注いでクラストを破り、スプーンですする。ひと口で口全体にコーヒーを行き渡らせ、そこから記録が始まります。



二つの審査員枠を、ひとつの得点に

プロ80%:参加者20%という配点は、この形式で私たちが最も残したい部分です。経験を積んだ審査員の枠が、技術的な基準を守る。同時に、参加者どうしが互いの焙煎に点数をつけ、自分も同じように採点される。小さな仕組みですが、これは請求書にはできないことです。商売の基準がその場で共有され、明示され、議論の対象になる。それだけの意味があります。
この大会から持ち帰るもの
この会の目的は、トロフィーではありませんでした。お互いに必要としながら、めったに同じ場所へ集まらない3者――生産者、焙煎士、飲み手――の距離を縮めること。エチオピアのグジ ハニーと中国・雲南のウォッシュドを同じ土俵に載せ、焙煎士どうしに採点させる。それは、コーヒーの手仕事を、その間にある書類ではなく、真ん中に置き直すための実務的な方法です。
こう書くと、焙煎大会の目的としては控えめに聞こえるかもしれません。それでも、あえて言い切っておきたいことがあります。不作や遅延、行き違いを乗り越えられる調達関係とは、関係者が会い、一緒に味わい、相手が何をしているのかを知っている関係のことです。信頼は契約書に書くものではなく、繰り返しの取引のなかで見える形になっていく。私たちが橋を架けたいのは、そういう関係です。
大会概要
| 大会名 | 焙煎マスターズカップ2024 ―エチオピアと雲南農園から日本へ(Roasting Masters Cup 2024) |
| 主催 | Black Samurai Coffee × KOUNOU-COFFEE |
| 課題豆 | エチオピア グジ ハニー/中国 雲南ウォッシュド |
| 参加対象・定員 | 焙煎・販売を行う焙煎士/20名まで(のちにスペースの都合により15名までとする案内) |
| 募集期間 | 8月30日(金)まで |
| 参加費 | 5,980円(課題豆 各1kg付き) |
| 提出物 | エチオピア・雲南・ブレンドを各100g、9月9日(月)必着(同封の返信用封筒) |
| ブレンド規定 | 2産地を各40%以上(事前混合・後混合いずれも可) |
| カッピング審査 | 9月12日(木)19時/KOUNOU-COFFEE本店(大阪市淀川区東三国5-2-19) |
| 評価方法 | COEカッピングフォーム。3点の合計。プロ審査員80%/参加者審査20% |
| 結果発表 | 9月15日 |
| 副賞 | 1位 Lebrew RoastSee C1(焙煎度計)/2位 課題豆 各10kg/3位 課題豆 各5kg |

謝辞と、これから
ロースタリーとカッピングテーブルを快く開いてくださったKOUNOU-COFFEEのみなさま、そして参加費を払い、期限までに焙煎し、そのうえで仲間の一杯を採点するという面倒な役割まで引き受けてくださった焙煎士のみなさまに、心から感謝します。この一晩を支えてくれたグジと雲南の生産者のみなさまへ。日本の市場に、ロット番号だけでなく、あなたたちの仕事が名前で届くように――この形式はそのためにあります。
ニュースでは、エチオピア グジ ハニーと新作物の動きをこれからも追いかけていきます。生産者・焙煎士・飲み手が同じ部屋に集まる場も、続けていきます。
結果発表
焙煎マスターズカップ2024にご参加いただいた焙煎士の皆様、素晴らしい課題豆をご提供いただき、誠にありがとうございました。皆様の熱意と技術が光る焙煎のなかから、上位3名が決定しました。
🥇1位
八田 洋輔
KUROMON COFFEE
2位
徳永 裕人
有限会社トクナガコーヒー
🥉3位
工藤 建介
令和喫茶ZIZZ
本大会にご参加いただきました焙煎士の皆様、大会運営にご尽力いただきました皆様に深く感謝申し上げます。
今後とも、我々KOUNOU-COFFEE・BLACK SAMURAI COFFEEは、生産者・焙煎士・消費者のがりを深める活動を続けて参ります。どうぞ、引き続きのご愛顧賜りますようお願いいたします。