
カミールはジブチに生まれ、エチオピアにルーツを持つ人物です。アディスアベバの New Generation University College で国際関係学を学んだ後、国際協力、物流、サプライチェーン、そして異文化間のパートナーシップに関心を深めていきました。

2017年には、Awaji Youth Federationのフェローとして来日しました。淡路で地域活性化、起業家精神、国際的なリーダーシップをテーマとするプログラムに参加するなかで、地域や社会が抱える課題に向き合い、ビジネスを通じて解決策を生み出すという考え方に触れました。こうした経験を通じて、日本の視点から物事を考え、アフリカと日本の双方に価値を生み出す可能性を意識するようになりました。

その後、株式会社パソナでグローバル・プロジェクト・オフィサーを務めました。多国籍・多文化環境でのプロジェクトに携わるなかで、社会課題の解決と事業としての持続性を両立させる新たなビジネスの企画・開発にも取り組みました。日本語で十分に思いを伝えきれない場面でも、相手の文化や価値観を尊重し、対話を重ねながら信頼関係を築く経験を積みました。
転機となったのが、2019 年に横浜で開催された第 7 回アフリカ開発会議(TICAD7)です。この出会いをきっかけに、アフリカと日本を結ぶ実践的かつ持続可能なビジネスの可能性について議論を重ねました。その後、日本のコーヒー市場とエチオピアの生産・供給構造について調査と準備を進め、2020年12月のBlack Samurai Coffeeの立ち上げへとつながりました。

立ち上げ以来、カミールはエチオピアのコーヒー協同組合、農園、輸出事業者、加工・物流関係者のあいだで関係構築を進めると同時に、日本全国のロースター、卸売企業、カフェ、コーヒー関連事業者への市場開拓を主導してきました。直接訪問、サンプル提供、カッピング、商談、継続的なフォローアップを重ねるなかで、日本のコーヒー事業者が求める品質・価格・数量・納期・情報への理解を一つずつ深め、事業は小ロット輸入からコンテナ単位の供給へと段階的に発展しています。
カミールが常に意識しているのは、コーヒーを単なる商品として扱うのではなく、産地と市場、人と人、文化とビジネスをつなぐ媒体として捉える視点です。

川上珈琲にてカッピング。実際のカップを囲み、コーヒーの品質や風味について意見を交わす。
現在は家族とともに神戸を拠点に活動を続けています。2025 年には KOBE PR アンバサダーに就任し、2026 年に再任しました。神戸のビジネス・文化・コミュニティの魅力を国内外へ発信するとともに、日本とアフリカの交流促進に取り組んでいます。
同時に、兵庫県コーヒー商工組合の賛助会員として、地域のロースター、卸売企業、コーヒー関連事業者との交流、学び、業界活動にも参加しています。
ビジネス、コーヒー、文化、地域社会を通じて、日本とアフリカの間に、双方にとって意味のある関係を築くこと――それがカミールの使命です。コーヒーを運ぶだけでは、架け橋にはなれません。品質、情報、信頼、そして人と人の関係までつないでこそ、長く続く価値が生まれると考えています。
Our Journey これまでの歩み
Black Samurai Coffee は、市場調査と直接営業から始まった小さな試みでした。エチオピアでの供給ネットワーク構築、日本への商業輸入、顧客基盤の拡大、そしてコンテナ単位での継続供給へ。事業をここまで進めてきた背景には、一軒一軒の訪問と、一杯一杯のカッピングの積み重ねがあります。
2021 年以降、日本全国のコーヒー関連事業者 500 社以上へアプローチし、店舗・事業所への直接訪問、サンプル提供、カッピング、商談、継続的なフォローアップを実施してきました。現在までに約 80 社との商談・取引・継続的な関係構築につなげています。
私たちの成長は、単に輸入量を増やすことではありません。生産地と日本市場の双方に向き合い、品質、情報、物流、信頼を一つずつ積み重ねてきた歩みです。年の単位で読み返すと、そこに浮かぶのは数値そのものではなく、人と人の地図だと感じています。

2020年12月、神戸にてBlack Samurai Coffeeを立ち上げ。
2020|創業
2019年頃から構想と市場調査を重ね、2020年12月、Black Samurai Coffeeを立ち上げました。エチオピアを起点に、生産地と日本のコーヒー事業者を長期的な関係でつなぐことを目指し、調査・産地との関係構築・事業設計を進めてきました。

エチオピア・グジの産地にて、Guji Highland Coffee PlantationのCEOと。生産現場を訪ね、コーヒーの品質と供給について意見を交わす。
2021|産地と日本での関係づくり
日本全国のロースター、卸売企業、カフェ、その他のコーヒー関連事業者を対象とした市場調査と直接営業を開始しました。同時にエチオピアに渡り、コーヒー協同組合、輸出事業者、農園、加工施設を訪問。品質管理、供給体制、生産者が直面する課題への理解を深めながら、現地パートナーとの信頼関係をひとつずつ結んでいきました。

初の商業輸入。神戸の倉庫にて、三菱倉庫のスタッフとともにエチオピア産コーヒーの入庫を確認。
2022|初の商業輸入
エチオピア産コーヒーの日本向け商業輸入を、初めて実施しました。これを機に、事業は市場調査とサンプル検証の段階を卒業し、実際の調達、輸入、物流、保管、販売を伴う本格的なコーヒー事業へと移行しています。

西村珈琲店にて、吉谷氏(中央)と武藤康平氏と。日本のコーヒー市場とエチオピア産コーヒーについて意見を交わす。
2023|販売の本格化と顧客基盤の拡大
継続的な訪問、カッピング、サンプル評価、対話を通じて、単発の販売にとどまらない継続供給や商品開発につながる関係を築き始めています。神戸のコーヒー企業への供給も開始し、アフリカ産コーヒーと地域のコーヒー文化をつなぐ具体的な協業が生まれました。

SCAJ 2023のBlack Samurai Coffeeブースにて。来場者にアフリカ産コーヒーを紹介し、直接カッピングや商談を行う。
2024|輸入量と取引関係の拡大
顧客からの評価と需要の高まりを受け、第 2 回の輸入を実施し、日本市場への供給量を拡大しました。既存顧客との関係を深める一方で、新たなロースター、卸売企業との取引機会を広げ、より安定した販売基盤の構築を進めています。SCAJ をはじめとする業界イベントへの参加を通じて、日本のコーヒー産業との接点もさらに広がりました。

兵庫県コーヒー商工組合の賛助会員として、地域のコーヒーコミュニティとともに学び、つながる。
2025|継続販売とコーヒーコミュニティへの参加
年間を通じて既存顧客への供給を継続し、品質、価格、数量、納期など、日本市場の実際のニーズにもとづいた販売・供給体制を強化しました。顧客との共同商品開発や産地情報を活用した商品づくりにも取り組み、エチオピアコーヒーの新たな価値を日本市場へ届けています。兵庫県コーヒー商工組合の賛助会員として、地域のロースター、卸売企業、コーヒー事業者との交流、研修、業界活動に参加しました。同時に、エチオピアで培った経験を基盤に、ケニアをはじめとする新たなアフリカ産地について、日本の買い手の関心、品質、価格、物流、供給可能性の調査を開始しています。

小ロットからコンテナ単位へ。積み重ねてきた信頼を、より安定した供給体制へと育てる。
2026|コンテナ規模の拡大と安定供給体制の強化
本年は 3 コンテナ以上の輸入を計画・推進し、小ロット中心で始まった事業を、より安定したコンテナ単位の供給モデルへと発展させています。輸入量の拡大だけでなく、物流効率、在庫管理、継続受注、産地・ロット情報の整備、買い手との供給計画の改善に取り組み、信頼性の高い供給体制の構築を進めています。KOBE PR アンバサダーとしての活動や地域のコーヒー産業への参加を通じて、ビジネスだけでなく、文化、観光、地域社会を含む日本とアフリカの交流にも貢献しています。
今後も、需要に基づく受注集約、継続的な購入計画、産地・ロット情報の充実、新たなアフリカ産地との関係構築を通じて、アフリカと日本をつなぐ、より強く、透明性の高いコーヒーサプライチェーンを目指していきます。
市場を知ることから始まり、産地との関係を築き、輸入を実行し、顧客との信頼を積み重ねる――Black Samurai Coffee の歩みは、一つひとつの関係と確かな実行によって築かれてきました。

